『夜明けのブルース』がこれほどまでに長く愛唱される秘密は、その緻密に計算された音楽構造にあります。ギターの小気味よいカッティングを軸にしたエイトビートのリズムは、歌謡曲特有の湿っぽさを適度に中和し、軽快なドライヴ感を生み出しています。
楽曲のキーは哀愁を誘うマイナー調(Amキーなど)を基調とし、コード進行はAm - Dm - G - C - E7といった王道のポップス・歌謡進行を踏襲しています。難解な転調をあえて避け、誰の耳にも心地よく馴染むコードワークを採用したことが、カラオケ愛好家にとって「歌いやすく、かつ気持ちよく響く」決定打となりました。
さらに特筆すべきは、五木ひろしの歌唱テクニックです。過度なコブシ回しを控え、ハスキーなウィスパーボイスと抜けの良いチェストボイスを巧みに使い分けることで、現代的なポップス感覚を付与しています。サビの「Ah〜 二番町」というフレーズのキャッチーさは、一度聴けば誰もが口ずさみたくなる強力なフックとなっています。