政府主導の「脱ハンコ」政策が浸透し、多くの企業が電子契約へと移行した。しかし、現場のリアルな声は少し違う。不動産取引や法人の設立登記、あるいは一部の金融機関との取引において、依然として「実印と印鑑証明書」の提出を求められる場面は少なくない。
「明日までに法務局に行かなければならないのに、実印がない」。そんな窮地に立たされた人々が最後に頼るのが、新宿の街角にあるこの店舗だ。ネット通販ではどうしても数日のタイムラグが発生するが、ここではその場で職人が仕上げてくれる。デジタル化が進めば進むほど、物理的な駆け込み寺としての価値が際立つという皮肉な現象が起きている。