戦後の混沌とした時代、港を行き交う船員や地元住民の腹を満たすために生まれた一杯。創業者の丹羽仁氏が手掛けた「つたふじ」は、同じく名店として名を馳せた「朱華園」とともに、尾道ラーメンという独自の食文化を切り拓いたパイオニアである。
かつては単なる街の大衆食堂に過ぎなかった中華そばが、やがて日本中のラーメンファンを呼び寄せる名物へと昇華した。日本の外食産業におけるご当地グルメブームの潮流に乗る前から、この店は変わらぬ情熱で寸胴と向き合ってきたのだ。
二大巨頭の競演によって育まれたその味わいは、今や広島県尾道市を代表する観光資源であり、ラーメン史に刻まれる金字塔と言っても過言ではない。