「兎に角」の読み方は「とにかく」であり、副詞として「他の事柄は別問題として」「何はさておき」という意味を持ちます。では、なぜウサギと角という無関係に見える漢字があてがわれたのでしょうか。
その原点は、古代仏教の教典に登場する四字熟語「亀毛兎角(きもうとかく)」に遡ります。「亀の甲羅に毛が生えることも、ウサギの頭に角が生えることも絶対にあり得ない」ということから、「現実に存在しないもの」「実体のない架空の事象」「あり得ない妄想」を指す比喩表現として使われていました。
一方で、日本古来の大和言葉には、指示代名詞の「と(あのように)」と「かく(このように)」を組み合わせた「とにかく(あれこれと、どうあっても)」という言葉が古くから存在していました。この大和言葉の音に対して、知識人たちが「実体のないもの=兎角」という仏教の概念を掛け合わせ、洒落や教養を込めて漢字を当てはめたのが「兎角(とかく)」や「兎に角(とにかく)」の始まりです。