科学界でこの不気味な発光は地震光(Earthquake Light)と呼ばれ、長年にわたりその発生メカニズムが議論されてきた。東京大学地震研究所をはじめとする国内外の研究機関による分析では、断層運動に伴う岩石の圧縮破壊が発光の直接的なトリガーであると考えられている。花崗岩などに多く含まれる石英結晶が急激な圧力を受けると、圧電効果(ピエゾ効果)によって極めて高い電圧が生じる。
米国地質調査所(USGS)の調査チームも、過去数十年にわたり世界中で報告された地震光の事例を集計・分析してきた。その結果、特定タイプの垂直断層やリフト構造の地域において、大規模な破壊の前兆として地下からの電荷移動が顕著になることが実証されている。現代の地震学は、単なる口伝だった「空の変色」を、地殻変動が生み出す電磁気学的現象として捉え直しているのだ。