柿の木は乾燥に強く、日本の気候風土に適した強健な樹種です。しかし、基本原則を外すと管理不能な巨木になり、近隣への迷惑の種になります。失敗を防ぐ柿の木の育て方の第一歩は、苗木の導入時期から始まります。
健全な活着を目指すなら、柿の木の苗木植え付け時期は休眠期にあたる11月〜12月、または厳しい寒さが和らぐ2月下旬〜3月が最適です。根鉢を優しく崩し、深植えを避けて地際と接ぎ木部分が地上に出るよう植え付けます。支柱をしっかりと立て、風によるぐらつきを防ぐことが根付くための前提条件です。
栽培管理において最も技術が問われるのが、柿の木の剪定時期である冬季(12月〜翌2月)の整枝作業です。柿の花芽は「混合花芽」と呼ばれ、前年の夏に伸びた充実した枝の「先端から数個の芽」の中に作られます。春になるとその芽から新しい梢が伸び、その新梢の基部近くに花が咲くという独特のサイクルを持っています。
そのため、枝先をむやみに切り詰める「ぶつ切り剪定」を行うと、花芽をすべて切り落とすことになり、翌年まったく実がつかない事態に陥ります。日本で最も親しまれている富有柿の剪定方法では、以下のルールを徹底することが収穫への最短ルートです。
- 間引き剪定を主体にする:混み合った枝、重なり合った枝、内側に向かって伸びる内向枝は、枝の基部から元払いで間引き、樹冠内部まで太陽光が届くようにする。
- 先端の切り戻しは慎重に:花芽がついている先端部は切らずに残す。残す枝(結果母枝)は、太さが割り箸程度で長さ20〜30cmの充実した中庸な枝を選ぶ。長すぎる徒長枝や短すぎる貧弱な枝には良質な花芽がつかない。
- 開心自然形への仕立て直し:主幹の高さを2.5〜3メートルに抑えるため、幼木期に主枝を3本程度に配置し、横へ広がる「開心自然形」に整える。上への直立した成長を抑えることで、脚立なしで収穫・剪定ができる安全な樹形を維持できる。
果樹園の古木調査でも示されている通り、柿の木の寿命は極めて長く、適切な剪定と保護を行えば半世紀以上にわたって高品質な実を供給し続けます。初期段階で低樹高の骨格を作ることが、将来にわたる労力削減の決定打となります。