拝殿で参拝を済ませた後、多くの参拝者がそのまま引き返してしまいますが、それはあまりにも勿体ない選択です。上色見熊野座神社の真髄とも言える神域は、拝殿のさらに奥、険しい山道を10分ほど登った標高の高い山腹に鎮座しています。それが、阿蘇のシンボル的巨岩である「穿戸岩(ほげといわ)」です。
穿戸岩は、巨大な一枚岩の中央に、縦横10メートル以上もの大風穴がぽっかりと貫通している特異な巨石構造物です。阿蘇に伝わる古い神話によれば、阿蘇神社の主祭神である健磐龍命(たけいわたつのみこと)に追われた従者・鬼八法師(きはちほうし)が、追い詰められた際に岩山を蹴破って逃走した跡であると言い伝えられています。
この神話と風穴の形状から、古来より穿戸岩には絶大なるご利益が宿ると信じられてきました。堅固な岩盤を風が吹き抜ける様から、「どんな困難な状況であっても風穴を開けて突破する」「乗り越えられない壁を打破する」という象徴となり、現代では以下のような祈願を胸に訪れる人が後を絶ちません。
- 難関突破・合格祈願:高校・大学受験や難関国家資格に挑む受験生が、突破力を授かるために参拝する。
- 必勝祈願・スポーツ上達:勝負事の前に立ち塞がるライバルやプレッシャーを打ち破る祈願。
- 事業繁栄・商売繁盛:膠着したビジネスの状況に風穴を開け、新たな活路を見出すための起業家・経営者による参拝。
穿戸岩の穴の前に立つと、巨岩を通り抜けてくる阿蘇の清冽な突風が体を包み込みます。この風を全身に浴びること自体が、古来のお祓い(禊ぎ)の儀式に匹敵する浄化の体験として重宝されているのです。