通算3000試合出場という金字塔を打ち立てた谷繁元信の解説は、まさに「捕手視点」の極致と言える。投手が投げたアウトコース低めのストレート。一見すると普通のボール球に見えるその一球が、実は次の打席への伏線であったり、相手ベンチの代打策を打ち消すための高度な計算であったりすることを即座に見抜く。
谷繁の言葉は具体的で一切の妥協がない。「今のカウントでこの球種を選択した理由」を、打者の目線や足の位置、スイングの遅れ具合から論理的に説明する。彼の解説を聞きながら試合を見ることで、ファンはまるで捕手の防具をつけ、キャッチャーボックスからグラウンドを見渡しているかのような錯覚に陥るはずだ。