津久井湖を訪れた観光客やドライバーから、「昨日よりも数メートルも水が減って湖底が露出している」「これは異常事態ではないか」という声が頻繁に上がります。しかし、これには明確な構造的理由があります。
第一の理由は、城山発電所による「純揚水発電」の仕組みです。津久井湖は下池、山頂近くの本沢ダム(城山湖)を上池としており、電力需要の少ない夜間に水を山の上へ汲み上げ、電力需要がピークに達する昼間に水を落下させて発電します。この運用により、雨が降っていなくても1日の間に湖面が数メートル単位で上下するのが津久井湖の日常的な仕様なのです。
第二の理由は、「洪水期制限水位」の適用です。ダム管理規則に基づき、大雨や台風が予想される毎年6月中旬から10月中旬にかけては、あらかじめ湖の水位を大きく下げて空き容量を確保する運用が義務付けられています。初夏から初秋にかけて湖面が低く見えるのは、水不足ではなく「大雨を受け止めるための意図的な安全対策」に他なりません。