誰の身にも起こり得るこの問題は、なぜここまで急速に根を広げているのでしょうか。その背景には、かつて当たり前とされていた「地域コミュニティ」や「日本型世帯構造」の瓦解があります。単身世帯の割合は年々上昇を続け、かつての地縁・血縁に頼る生活様式は急速に過去のものとなりました。
とりわけ深刻な打撃を受けているのが、高齢者層です。配偶者との死別や自身の健康悪化を機に、外出の機会や言葉を交わす相手が一気に消失するパターンが後を絶ちません。定年退職を迎えた男性が会社組織以外の人間関係を築いてこなかった結果、退職と同時に地域で完全に孤立してしまう事例もしばしば報告されています。
その一方で、若年層における孤立も影を落としています。非正規雇用の長期化や低賃金によって他者と交際する金銭的余裕を持てないケース、SNS上では膨大な「フォロワー」と繋がっていながら、現実には本音を打ち明けてSOSを出せる人が一人もいないという極めてアンバランスな状況です。世代を問わず、「弱音を吐いたら脱落とみなされる」という過度な自己責任論が、救いを求める声を抑え込んでいる実態が見て取れます。