チンストラップは無骨な労働着から、いつしか洗練された大人のスタイルアイコンへと昇華した。その橋渡しをしたのが、伝説的ハリウッドスターのスティーブ・マックィーンだ。
名作映画『大脱走』をはじめ、私生活でもバイクを愛した彼が身にまとっていたのが、英国の老舗バブアーのライディングジャケットである。スタンドカラーの襟元をチンストラップでキュッと引き締めて颯爽と走るその姿は、男らしさと気品が同居した究極のスタイルとして世界中に衝撃を与えた。
現在、Netflixなどの配信サービスを通じて往年の名作やクラシックなモータースポーツカルチャーに触れる若い世代が増えている。これに伴い、アパレル産業では伝統的なチンストラップをあえて復活させたトラッドアウターやモダンなブルゾンが再び脚光を浴びている。風を防ぐという実用性はそのままに、襟元を立たせて留めるだけで首回りに美しい立体感が生まれ、現代の街着としても抜群の存在感を放つ。