ブームの合言葉となった「ととのう」という感覚。温冷交代浴の後に訪れる深いリラックス状態を指しますが、医学的な視点から見ると、極度の自律神経ショックや脳貧血と紙一重の状態であることを認識しなければなりません。
サウナ浴を1回行うだけで、体内からは300ml〜500ml以上の水分が汗として奪われます。十分な水分補給を行わずにセット数を重ねると、血液中の水分が減少し、血液の粘度が高まる「ドロドロ血」状態に陥ります。脱水症状が進行すると血栓ができやすくなり、これが脳梗塞や心筋梗塞を誘発する温床となります。
また、過度な我慢を重ねてサウナ室から出た際、急激な血管拡張や迷走神経反射によって脳への血流が一時的に遮断され、「眼前暗黒感」や「意識消失(失神)」を引き起こすケースが多発しています。いわゆる「ととのった」と錯覚している瞬間が、実際には脳貧血による失神寸前の麻痺状態であることも珍しくありません。
浴室の硬いタイルや石の床の上で意識を失って倒れれば、頭蓋骨骨折や外傷性頭蓋内出血など、転倒による直接的な致命傷を負うリスクも極めて高いのです。