蚊(主に日本で遭遇するアカイエカやヒトスジシマカ)が人間を感知する際、遠距離から近距離にかけて複数の段階的なセンサーを駆使しています。蚊に刺されやすい理由の真相は、以下の4つの要素が複合的に重なっている点にあります。
第1のトリガーは二酸化炭素(CO2)の排出量です。蚊の触角には高感度の二酸化炭素感知センサーが備わっており、数十メートル先からでも濃度の変化をキャッチします。呼吸が荒い人や基礎代謝が高い人は、それだけで蚊を遠方から呼び寄せるビーコン(発信機)のような役割を果たしてしまいます。
第2のトリガーは体温と汗に含まれる揮発成分です。蚊は赤外線で熱源を捉える能力に長けており、皮膚表面温度が高い人ほど近距離で察知されやすくなります。さらに、汗に含まれる乳酸やアミノ酸、アンモニアといった成分は、蚊の嗅覚受容体を強力に刺激します。運動直後で息が上がり、体温が高く汗をかいている状態は、蚊にとって格好のターゲットです。
第3のトリガーは視覚情報(コントラスト)です。蚊は色の識別能力は低いものの、明暗のコントラストを鋭敏に認識します。特に黒や濃紺、ダークグレーといった暗い色は、周囲の景色との陰影差が際立つため、蚊の視覚センサーに捕捉されやすくなります。逆に白やベージュ、淡いパステルカラーは認識されにくい傾向があります。