七夕の夜に雨が降ると天の川の水かさが増して二人が渡れなくなるという説があります。このとき救済者として現れるのが鳥のカササギです。天の川とカササギの橋の伝説では、どこからともなく飛来した無数のカササギが天の川に整列し、自らの翼を広げて橋(鵲の橋=かささぎのはし)を架けることで、二人は川を渡って再会を果たすと伝えられています。
地域によっては、七夕の日に降る雨を「催涙雨(さいるいう)」と呼び、再会できた二人が流す嬉し涙、あるいは会えなかった悔し涙と解釈されるなど、情緒豊かな民俗信仰が育まれてきました。
また、現代では「欲しいもの」や「恋愛成就」を書くことが一般的になっている短冊に願い事を書く理由も、原典の歴史と深く結びついています。七夕伝説の由来は、中国古代の宮中行事「乞巧奠(きっこうでん)」にあります。乞巧奠とは、機織りの名手であった織姫にあやかり、女性たちが「裁縫や機織りの技術が上達しますように」と星に祈りを捧げた儀式でした。
これが日本に伝来し、貴族社会から江戸時代の寺子屋文化へと広がる中で、五色(青・赤・黄・白・黒/紫)の短冊に「学問の上達」や「手習いの上達」を筆で書き記す風習へと発展しました。つまり、努力を伴う自己研鑽の上達を誓うことこそが、七夕7月7日の意味に込められた本来の祈りのかたちなのです。