ネット上や料理本で「ささみ調理は必ず筋取りから始めるべき」と解説されるケースが多く見られます。しかし、実際の家庭料理現場において、フォークや包丁を使って筋を引き抜く作業は身を崩しやすく、ハードルを高める一因となっています。
結論として、筋取りなしでも切り方次第で食感を損なわずに美味しく仕上げることが可能です。ささみの中心を通る白い筋は、縦方向に強い繊維を持っています。この筋に対して垂直、あるいは斜めに刃を入れて厚さ5mm程度のそぎ切りにすると、筋自体の繊維が細かく分断され、咀嚼時に全く気にならなくなります。
また、「強火で表面を焼き固めて旨味を閉じ込める」という言説も、脂肪分の少ないささみにおいては完全な誤解です。強火を当てた瞬間に外側の肉質が硬化し、内側の水分まで絞り出されてしまいます。「冷たいフライパンからスタートするか、弱中火で静かに熱を通す」ことこそが、失敗を防ぐ最大の鉄則です。