香典袋を準備する際、インターネット上の不完全な情報を鵜呑みにして重大なマナー違反を犯してしまうケースが後を絶ちません。特に注意すべき3つの盲点を解説します。
1. 浄土真宗における「御霊前」の落とし穴
仏教の多くの宗派(曹洞宗・臨済宗・真言宗など)では、故人は亡くなってから四十九日の間は霊として現世と冥界の間を彷徨い、四十九日の法要を経て仏になると考えられています。そのため、通夜・葬儀では「御霊前」、四十九日以降の法要では「御仏前」を使い分けるのが通則です。
しかし、日本で最大の門徒数を誇る浄土真宗では教義が根本から異なります。浄土真宗では「往生即身成仏(亡くなると同時に阿弥陀如来の導きによって極楽浄土へ往生し、即座に仏となる)」と説くため、霊という概念自体が存在しません。したがって、通夜・葬儀の当日であっても「御霊前」は使わず、「御仏前(御佛前)」を用いるのが厳格な作法です。相手の宗派が事前に分からない場合は、どの宗教・宗派でも失礼にあたらない「御香典(御香料)」と記載された表書きを選ぶのが最も安全な回避策です。
2. 中袋に横書き枠がある場合の「算用数字(アラビア数字)」
「香典袋の金額は必ず大字(旧字体)でなければならない」と思い込んでいる人が多いですが、市販の不祝儀袋の中には裏面に最初から横書きの印刷枠(「〒」「住所」「氏名」「金額 ¥」など)が設けられている製品があります。
この印刷枠が存在する場合は、枠の様式に従ってアラビア数字(1, 2, 3...)で「¥10,000-」または「金10,000円」と記入して全く問題ありません。枠を無視して無理やり縦書きの大字をねじ込む方が、かえって記入欄の視認性を損ねます。指定枠があるなら横書きのアラビア数字、白無地の中袋なら縦書きの大字、と柔軟に判断してください。
3. 中袋(内袋)がない略式金封の対処法
5千円以下の少額を包む際によく使われる水引が印刷された簡易封筒には、中袋が付属していない製品が多く見られます。「中袋がないと失礼か」と焦って別の封筒を中に重ねる人がいますが、これは「不幸が重なる」とされる二重封筒を連想させるためマナー違反です。
中袋がない場合は、外袋の裏面左半分に、直接自分の住所・氏名・包んだ金額を黒インクまたは薄墨で明記します。左下に郵便番号と住所、氏名を並べて書き、その右隣に「金 伍阡圓」のように金額を添えるのが正しい作法です。