秦澄美鈴選手の強烈なバネとしなやかな跳躍フォームの根底には、幼少期からの多彩なスポーツ経験が存在します。公式発表資料やこれまでの取材記録を紐解くと、彼女のキャリアは陸上のエリート街道とは一線を画すユニークな軌跡を描いています。
大阪府八尾市出身の秦選手は、八尾市立北山本小学校時代の6年間は水泳に打ち込み、基礎的な心肺機能と柔軟な肩甲骨周りの可動域を養いました。八尾市立桂中学校ではバスケットボール部に所属し、フロアを縦横無尽に駆け巡る敏捷性と瞬発力を獲得。陸上競技と出会ったのは大阪府立山本高校へ進学してからで、当初は短距離と走高跳を専門としていました。
武庫川女子大学へ進学後も走高跳を続けていましたが、跳躍競技コーチが彼女の類まれな助走スピードと踏み切り時の反発力に着目。大学3年生という異例の遅さで走幅跳への本格転向を決断しました。この遅咲きの転向が功を奏し、2019年の第103回日本選手権で初優勝を果たすと、瞬く間に日本女子跳躍界の頂点へと駆け上がりました。