中骨を取り除いて柵(サク)の状態にした後は、皮引きと切り分けの工程です。コチの皮は厚く弾力があり、身との結着が非常に強いため、皮引きの段階で身を削ぎ落としてしまわないよう丁寧なナイフコントロールが求められます。
失敗しない皮の引き方:
柵の尾側の端から1cmほどの位置に刃を入れ、皮の直前で刃を止めます。そこから左手で皮の端を乾いた布巾やキッチンペーパーで滑らないようしっかり掴み、包丁を動かすのではなく皮を左右に細かく揺らしながら引っ張るのがコツです。包丁の刃先をまな板に押し付ける角度を一定に保つことで、銀皮の美しい層を身に残したまま綺麗に皮を剥ぎ取ることができます。
絶品薄造り(そぎ切り)の極意:
コチの身質は非常に筋肉質で強い歯ごたえがあります。通常の刺身のように直角に厚切り(平造り)にしてしまうと、噛み切るのが難しく旨味を感じにくくなります。そのため、刃を極限まで寝かせて身を薄く広く削ぎ落とす「薄造り」が最高の仕立て方です。
皿の模様が透けて見えるほど薄く引いた身を円状に並べ、青ネギやもみじおろしを添えてポン酢で味わうスタイルは、まさに夏のフグ(テッサ)そのもの。噛むほどに広がる濃厚な甘みと爽やかな酸味の調和を堪能できます。