日常会話では同義語として使われがちな「パティスリー」と「洋菓子店(ケーキ屋さん)」ですが、その成り立ちと専門性には明確な違いがあります。
もともとフランス語の「Pâtisserie(パティスリー)」は、フランス菓子を専門に製造・販売する店、あるいはその資格を持つ職人を指します。フランス国家最高職人章(MOF)や本場パリの星付きレストラン、名門グランメゾンでの過酷な修業を経て独立したパティシエたちは、伝統的な技法をベースに自らのシグネチャー(個性)を表現するアトリエとして店舗を開業します。
対して、日本で長年親しまれてきた「洋菓子店」は、ショートケーキやモンブラン、プリン、シュークリームなど、日本人の味覚や家族団らんのシーンに合わせてローカライズされた親しみやすい菓子を提供する場として発展してきました。
現在では両者の垣根が適度に融和しつつも、「パティシエ個人の作家性を味わうパティスリー」と「世代を超えて愛される地域密着型の洋菓子店」という2極の魅力がそれぞれ確立されています。