光浦靖子さんの手芸における代名詞となっているのが、ニードルフェルトを用いた立体造形です。羊毛に専用の針を数万回単位で刺し固めながら形作っていくこの技法において、彼女の作品は群を抜いた密度とリアリティを誇ります。とりわけ光浦靖子 羊毛フェルト 犬のシリーズでは、犬種ごとの毛並みのグラデーション、マズル(鼻口部)の微細な凹凸、愛嬌の中に宿る哀愁まで見事に表現されており、動物彫刻としての完成度に到達しています。
バラエティ番組で披露される光浦靖子 手芸 作品を目にした視聴者の多くは、当初「タレントの余技」程度に受け止めていました。しかし、実物を間近で見た美術関係者やプロのフェルト作家たちは、その圧倒的な針の打ち込み回数による硬度と、デッサンの正確さに息を呑みました。光浦さんは独学に近い形で技術を磨き上げながらも、観察眼の鋭さと粘り強い作業量によって、市販のマニュアル本では到達できない域へと足を踏み入れています。
作品に共通するのは、単なる「可愛らしさ」にとどまらない、どこか不条理で人間味あふれるユーモアです。著名人の顔を模したブローチや、絶妙に情けない表情を浮かべる動物たちには、長年お笑いの第一線で人間の哀哀喜楽を見つめ続けてきた彼女ならではの人間観察がそのまま投影されています。