ネット上の言説やSNSのまとめ記事では、天童よしみの若い頃に関して少なからず誤解や誇張された情報が散見されます。調査ジャーナリズムの視点から、主要な誤解について事実関係を整理します。
第一に、「最初から演歌歌手として順風満帆にデビューした」という誤解です。前述の通り、彼女のキャリアはアニメソングでの特大ヒットから始まっており、純粋な演歌界への移行には激しい偏見と抵抗が存在しました。当時の歌謡界では「アニソン出身者」に対する見えない壁があり、その実力を認めさせるために『全日本歌謡選手権』という最も厳しい舞台を選ばざるを得なかったのが実情です。
第二に、「下積み時代は完全に音楽から離れていた」という説ですが、これも正確ではありません。引退を考えた時期はあったものの、地元のカラオケ教室での指導や自主的なボイストレーニングを一日たりとも欠かしていませんでした。天才的な感覚に甘んじることなく、ブランクの間も発声の基礎を科学的に再構築していたからこそ、「道頓堀人情」での再起が可能となったのです。