さらば青春の光(森田哲矢・東ブクロ)の歩みを語る上で避けて通れないのが、2013年に起きた松竹芸能からの退所騒動です。当時、結成わずか数年で『キングオブコント』準優勝を果たすなど松竹期待の星だった2人が、なぜ突如として専属契約解除に至ったのか。その背景には、ギャラ配分やマネジメント方針を巡る事務所との意見の乖離がありました。
当時のインタビューや森田の自著『メンタル童貞ロックンロール』などの手記によると、当時の2人は「もっと自分たちの裁量で新しい笑いに挑戦したい」という純粋な創作意欲と、実績に対する正当なリターンを求めて直談判を重ねていました。しかし、旧態依然とした芸能事務所のヒエラルキーの中では受け入れられず、事実上の追放に近い形で事務所を去ることになります。
退所直後に東ブクロのスキャンダル報道が重なったことで、事態はさらに深刻化しました。民放キー局からは完全に足元を見られ、業界内の暗黙の了解(いわゆる忖度)によってテレビ出演のオファーは激減。「フリーになった芸人は使えない」という冷酷な風潮の中、2人は文字通り仕事ゼロのどん底を経験しました。
しかし、彼らが他の挫折芸人と決定的に違ったのは、「他人に使ってもらうのを待つのではなく、自分たちでメディアと仕事を作る」という発想の転換でした。2013年10月、東京・五反田の雑居ビルの一室に「株式会社ザ・森東」を設立。社長に森田、副社長に東ブクロ、そして松竹時代の担当マネージャーであったヤマネヒロマサ氏が合流し、日本のお笑い界でも極めて異例なインディペンデント体制を築き上げました。