おひなまきが赤ちゃんの夜泣き対策として高い支持を得ている背景には、新生児特有の解剖学的・神経発達的な理由が存在します。ママのお腹の中にいた約10ヶ月間、胎児は背中を丸め、手足を胸の前で引き寄せた姿勢(いわゆるCカーブ姿勢)で過ごしていました。しかし、広々とした外の世界に生まれた直後の赤ちゃんは、自らの手足の重みや重力によって体が伸ばされ、姿勢が定まらずに強い不安や緊張を感じます。
布で適度に密着させて包み込むことで、胎内と類似した圧迫感と姿勢保持が得られ、副交感神経が優位になって深いリラックス状態へ導かれます。骨盤ケアや「トコちゃんベルト」の開発で知られる有限会社青葉などの専門メーカーが助産師と共同開発した製品が医療機関で広く採用されているのも、この生体力学的な安定性に着目した結果です。
さらに決定的なのが、モロー反射のコントロールです。生後数ヶ月の乳児は、物音や姿勢の変化に対して無意識に両手をビクッと広げる原始反射を持ちます。これが原因で自ら目を覚まして激しく泣き出す「背中スイッチ」が頻発しますが、おひなまきで両腕を体幹近くにやさしくホールドしておくことで、反射による覚醒を物理的に防ぎ、睡眠サイクルの乱れを劇的に改善する効果が確認されています。