自販機オーナーを直撃している最大の痛手が、電力料金の上昇です。一般的な「フルオペレーション契約」(メーカーが商品補充・集金・ゴミ回収を行い、オーナーは土地と電気代のみを提供する形態)では、販売マージン(手数料)がオーナーに支払われる代わりに、月々の電気代は設置者が全額負担する契約が主流となっています。
最新の省エネ型ヒートポンプ機であっても、真夏や真冬には電力消費量が跳ね上がります。かつては月額2,000円〜3,000円程度で済んでいた電気代が、近年の燃料調整費高騰や再エネ賦課金の改定により、月額4,500円〜7,000円規模にまで膨張している現場が少なくありません。
表に示した通り、オーナーにとっての損益分岐点は激変しました。仮に1本売れて30円のマージンが入るとしても、月間電気代が6,000円かかれば、毎月200本売れてようやく「収支ゼロ」です。住宅街の路地裏や人通りの鈍い場所では、月間販売数が100本台前半にとどまる例も珍しくありません。結果として「毎月2,000円〜3,000円の赤字を垂れ流しながら、他人のために飲料を冷やしている」という逆転現象が発生しています。