自然のリズムに任せて「眠くなったら寝る」という生活スタイルには、確かに一定のメリットが存在します。ベッドの中で「早く眠らなければ」と焦るプレッシャーから解放され、寝床にいる時間と実際の睡眠時間の乖離を減らすことができるためです。不眠症の治療現場でも、布団の中で長時間目が冴えてしまう人に対して「強い眠気を感じるまで寝室に行かない」指導が行われることがあります。
しかし、睡眠医学を専門とする医師の見解では、この手法はあくまで「ベッド=眠る場所」という条件付けを再構築するための治療的アプローチに過ぎません。健常者が何のルールも持たずに眠くなるのを待ち続けると、就寝時刻が毎日1〜2時間ずつ後ろにズレ込み、結果として深刻なデメリットを生み出す原因になります。
眠気を感じるタイミングは、室内の照明、スマートフォンの使用、直前の食事やカフェイン摂取など、周囲の環境によって簡単に狂ってしまいます。「眠くならないからまだ起きていて大丈夫」と判断してしまうこと自体が、夜更かしを助長する落とし穴なのです。