食感と味わいのバランスを左右するパスタの形状と盛り付け法にも、両者の哲学がはっきりと表れています。
イタリア本国において、ボロネーゼには「タリアテッレ(Tagliatelle)」と呼ばれる幅広の平打ち生パスタを合わせるのが絶対のルールとされています。細いスパゲッティでは重厚な肉のソースが絡みきらず、皿の下に肉が残ってしまうためです。さらに調理時は、茹で上がった麺をフライパンの中でソース、茹で汁、チーズ、オリーブオイルとともに手早く煽り、完全に乳化させて「和える」工程を経ます。麺の一本一本に肉の旨味をまとわせることこそが、ボロネーゼの真骨頂です。
一方のミートソースが合わせるのは、一般的な1.6mm〜1.8mm前後の乾燥スパゲッティです。盛り付けは、茹でてバターやサラダ油を軽く絡めたスパゲッティを丸く皿に盛り、その中央に煮詰めた熱々のソースを「上からかける」スタイルが主流。食べる人がフォークで少しずつソースを崩しながら麺に絡め、自分好みの比率で味わえる自由度こそが、日本の喫茶店や家庭で長く愛されてきた理由の一つです。