お笑い界のガリバーである吉本興業のギャラ配分と取り分については、長年にわたり「会社9:芸人1」といった過激な都市伝説が囁かれてきました。しかし、2019年の社会問題化とそれに伴う経営刷新委員会を経て、契約形態の透明化が進められた結果、現在では実態に即した契約システムが定着しています。
現在吉本興業が導入している契約は、従来の「マネジメント契約」に加え、タレント側が自ら仕事の選別を行える「専属エージェント契約」の選択制です。公表資料や所属芸人らの証言によると、通常のマネジメント契約における営業案件の配分比率は、かつてのような極端な搾取構造ではなく、「会社3〜5:芸人5〜7」程度に落ち着いているのが実態です。劇場公演の手取りが数千円であっても、民間企業や自治体の営業案件は芸人側の取り分比率が高く設定されているため、週末に営業をこなす芸人の口座にはまとまったキャッシュが振り込まれます。
他社事務所に目を向けると、人力舎やマセキ芸能社、太田プロダクションなどは昔から「事務所4〜5:タレント5〜6」前後の健全な配分を維持していることで知られています。サンミュージックプロダクションのように、一発屋と呼ばれる芸人たちを手厚く営業現場へ送り出し、息の長いビジネスモデルを確立している事務所も存在します。
さらに依頼側として見逃せないのが、事務所とクライアントの間に介在するキャスティング会社の手数料マージンです。直接芸能事務所にコネクションを持たない一般企業や実行委員会が代理店を通す場合、仲介手数料として出演料全体の20%〜40%が上乗せされます。例えば「予算100万円」で発注しても、中間手数料を差し引くと、事務所に届くのは70万円、芸人本人の手取りは40万円前後まで目減りしているという構造的な金流を理解しておく必要があります。