デビュー以降、高い歌唱力とダンススキルを誇りながらも決定的なヒットに恵まれなかった彼女たちにとって、本作はまさに背水の陣で放たれた一曲でした。当時、音楽業界に衝撃を与えたのは、イタリアのシンガー・Lolita(ロリータ)が歌った同名曲を日本語詞でカバーするという大胆なユーロビート戦略です。
当時エイベックスの専務取締役として制作を主導した松浦勝人氏のプロデュース秘話によると、ディスコやクラブで熱狂的な支持を集めていた哀愁系ユーロビートのメロディラインに、鈴木計見氏による前向きで疾走感あふれる日本語詞を融合させる試みは、徹底した現場感覚から生まれたものでした。「TRY ME 〜私を信じて〜」の歌詞が放つストレートなメッセージ性と、哀愁を帯びた高速ビートの組み合わせは、バブル崩壊後の閉塞感を打ち破る圧倒的な推進力を秘めていたのです。
テレビ番組のタイアップや音楽番組での圧倒的な生パフォーマンスが重なり、耳の早いクラブ層から小中高生までファン層が爆発的に拡大。安室奈美恵のブレイクのきっかけとなった本作は、従来のアイドルソングの枠組みを完全に解体し、本格派ダンスミュージックの時代を告げる狼煙となりました。