ジブリ『風立ちぬ』主題歌ひこうき雲の起用理由と歌詞の真相を追う

ジブリ『風立ちぬ』主題歌ひこうき雲の起用理由と歌詞の真相を追う

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映画『風立ちぬ』の主題歌に「ひこうき雲」が選ばれた背景には、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏の鋭い直感と、宮崎駿監督が抱いていた制作上の強烈なヴィジョンがありました。

制作初期、宮崎監督は主人公・堀越二郎の生き様と、結核を患いながらも懸命に生きたヒロイン・菜穂子の切ない愛の結末をいかに表現すべきか苦悩していました。その際、鈴木プロデューサーが「この映画の主題歌は、ユーミンの『ひこうき雲』しかない」と強く提案したことがすべての始まりです。当時、宮崎監督は絵コンテを描きながら改めてこの曲を聴き直し、「これ以上の楽曲は存在しない」と深く感動し、目頭を熱くしたと伝えられています。

公式発表資料や当時の記者会見の記録によると、正式なオファーは2012年12月に行われた『魔女の宅急便』Blu-ray発売記念トークイベントという公開の場で行われました。鈴木プロデューサーがステージ上で松任谷由実氏本人に対し、「『風立ちぬ』の主題歌に『ひこうき雲』を使わせてほしい」と突如サプライズで直談判したのです。松任谷氏はその場で驚きつつも快諾し、伝説的なコラボレーションが正式に結実しました。

宮崎監督とユーミンのタッグは、1989年公開の『魔女の宅急便』(「ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」)以来、実に24年ぶりのことでした。映画のために作られた最新のポップスではなく、昭和のフォーク/ニューミュージック黎明期に生まれた珠玉のクラシックだからこそ、大正から昭和初期という激動の時代を描いた映画の世界観に完璧なリアリティと陰影をもたらしたのです。

小林 直樹
著者

小林 直樹

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