当時、志田未来は13歳(中学1年生)、三浦春馬は16歳(高校1年生)。思春期の真っ只中にある若年俳優二人が、「予期せぬ妊娠」「中学生の出産」という極めてセンシティブかつ倫理的なプレッシャーを伴う難題に挑んでいました。
インターネット上では後年、「シリアスすぎる現場で二人に確執があったのではないか」「撮影中ほとんど会話がなかったのではないか」といった噂が囁かれたこともあります。しかし、当時のテレビ誌インタビューやメイキング特番での記録を紐解くと、事実はまったく異なります。
役柄上、距離感を保つ必要があったため、序盤は意図的に一定の緊張感を維持していたものの、現場では互いの演技に対する深いリスペクトが存在していました。志田未来は直前の『女王の教室』(2005年)で圧倒的な演技力を見せつけていた天才子役であり、三浦春馬もまた「志田さんの集中力に圧倒され、自分も絶対に負けられないと必死に食らいついた」と自著やインタビューで回顧しています。互いの熱量が相乗効果を生み出し、あの張り詰めた空気感が生まれたのです。
さらに本作を語る上で欠かせないのが、Mr.Childrenによる主題歌『しるし』の存在です。桜井和寿が台本を深く読み込んで書き下ろした名曲は、未希と智志の不器用で儚い愛の証明として、ドラマのクライマックスに完璧なタイミングでインサートされました。切なく胸を締め付けるメロディと歌詞が、二人の鬼気迫る表情と完全にシンクロし、視聴者の涙を誘いました。