初期の携帯電話はなぜ3Kgもあったのか?バブルの真相と進化の全貌

初期の携帯電話はなぜ3Kgもあったのか?バブルの真相と進化の全貌

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なぜ重量3kg、保証金20万円、通話料1分100円という常軌を逸した道具が、これほどまでに熱烈に求められたのか。その背景には、1980年代後半の携帯電話黎明期 バブルの真相と、当時の日本社会を覆っていた独特の心理力学が存在します。

お笑い芸人のネタ「しもしも〜?」でパロディ化された平野ノラ氏のキャラクターは決して誇張ではありません。当時、六本木や赤坂の高級料亭、ディスコのVIPルームの前には、大柄なショルダーホンをわざと見えるように抱えた不動産ブローカーや投資銀行員が列をなしていました。土地の転売や株式の仕手戦において、数十分の情報伝達の遅れが数千万円から数億円の損失直結を意味していた時代、ショルダーホンは「即座に億単位の商談をまとめるプロフェッショナル」の証言台だったのです。

社会心理学的に分析すれば、この現象は極めて先鋭的な「見栄の誇示消費」でした。公衆電話に並ぶ一般庶民の視線を浴びながら、路上で大声を張り上げて為替や不動産の指示を飛ばす行為そのものが、自己の優位性と特権階級意識を担保する精神的装置として機能していたのです。

しかしその裏側で、日本人の労働環境にはある重大な変容が芽生え始めていました。当時の経済誌の手記には、次のような利用者の悲鳴が残されています。

「いつでもどこでも連絡がつくことは、自由を手に入れたのではなく、24時間会社と顧客の監視下に置かれたことを意味していた。夜中の接待中であっても、ゴルフ場のグリーン上であっても、肩の機械が鳴れば直立不動で応対しなければならない」(当時の大手商社幹部の回想手記より)

これは、現代の「つながりすぎによるデジタル疲労」の原点です。テクノロジーによって物理的距離が消滅した結果、仕事と私生活の「心理的バウンダリー(境界線)」が破壊され、24時間戦い続けることを余儀なくされた企業戦士たちの歪んだ過剰適応。ショルダーホンの重さは、バブルという熱狂が個人の肉体に課した「精神的重圧の具現化」そのものだったと言えます。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。