杉村太蔵を語る上で避けて通れないのが、2005年「郵政解散」選挙での比例復活当選直後の狂騒です。「真っ先に料亭に行ってみたい」「国会議員は手当もたくさんもらえる」と無邪気に語った姿は、世間から「世間知らずの象徴」として激しい批判を浴びました。2009年の落選、続く2010年の参院選落選によって政治生命は実質的に絶たれ、当時は世間から完全に忘れ去られると目されていたのです。
では、なぜそこから一転して巨額の富を築くことができたのか。その最大の理由は、「徹底した自己客観視(メタ認知)によるポジショニング戦略」と「収益チャネルの多角化」にあります。
落選後、芸能界へ足を踏み入れた杉村は、自らを「薄口政治評論家」と定義しました。専門家が難解な言葉で語りがちな政治や経済のテーマを、一般視聴者と同じ目線、あるいは一段低い目線から素朴に問い直すという独自のポジションを確立したのです。プライドを捨ててツッコミ待ちの「道化」に徹する潔さは、番組プロデューサーや共演者から絶大な信頼を獲得する結果となりました。
さらに、テレビ出演で得た知名度をレバレッジにし、全国の商工会議所や企業から引っ張りだことなる講演会ビジネスを展開。経済誌『GOETHE』の取材で「僕はフリーランス界の頂点」と語った通り、出演料・講演料・執筆料を極めて効率的に積み上げる仕組みを構築しました。現在の推定年収は1億円を優に超えると各メディアで報じられており、単一の職業に依存しない複線型の収入構造こそが、彼の巨額資産形成の土台となっています。