若葉竜也が『おちょやん』で演じたのは、京都の鶴亀撮影所に所属する助監督・小暮真治(こぐれ・しんじ)です。良家の御曹司でありながら、親の反対を押し切って映画の世界へ飛び込み、現場では監督の怒号を浴びながら泥臭く雑用に追われる不器用な青年でした。
千代が道頓堀の芝居茶屋「岡安」を飛び出し、女優への足がかりを求めて京都の鶴亀撮影所へ大部屋女優として飛び込んできた第7週(第31回・2026年1月11日放送)から本格的に登場。撮影現場で右も左も分からず空回りする千代に対し、小暮は嘲笑することなく、優しく映画作りの初歩を教え、台本の読み合わせに付き合います。冷遇されがちだった千代にとって、小暮は撮影所で唯一、自分の情熱を対等に受け止めてくれる精神的支柱でした。
小暮の本格的な出演期間は、第7週から京都編のクライマックスとなる第10週(第47回・2026年2月9日放送)までの約1か月間。話数としてはおよそ15話分に凝縮された出演でありながら、その佇まいと繊細な視線の演技は、長期間登場したメインキャストに匹敵する爪痕を視聴者に残しました。その後、第18週(第86回)などで千代が一平(成田凌)と結婚した際にも名前が引き合いに出されるなど、物語全体の重要な転換点として機能し続けたのです。