桝アナウンサーの特異性を理解する上で欠かせないのが、その卓越した理系バックグラウンドです。私立麻布中学校・高等学校時代は生物部に所属し、チョウの鱗粉や昆虫の生態観察に没頭。その後、東京大学農学部水圏環境専修へ進学し、さらに東京大学大学院農学生命科学研究科へと進みました。
大学院時代における研究テーマは「アサリの殻の成長線解析」。顕微鏡を覗き込み、貝殻に残された微細な模様から過去の環境変動を読み解くという地道な基礎研究に明け暮れていました。しかし、研究室で天才的なひらめきを持つ同世代の純粋研究者たちを目の当たりにした際、「自分は第一線の研究者として新しい大発見を生み出すタイプではない」という強烈な挫折と自己客観視を経験します。
「科学を生み出す才能がないのなら、科学の面白さや重要性を一般社会に正しく届ける翻訳者になろう」。その覚悟を持って2006年に日本テレビへアナウンサーとして入社しました。バラエティ番組で見せる親しみやすさの裏側には、常に大学院時代に叩き込まれた「エビデンスを重視する科学的アプローチ」が一貫して存在していました。