ネット上では過激な推測やデマが飛び交いやすい土壌があります。特に金バエ氏を巡る言説のなかで、事実と異なる誤解や医学的盲点が散見されます。
代表的な誤解が「肌の黒さはカメラのカラーフィルターや照明の加工ではないか」という疑念です。しかし、複数の入院先や屋外からの配信、第三者が撮影した写真でも一貫して同じ皮膚所見が確認されており、演出の余地はありません。重症肝硬変患者に見られる皮膚色素沈着は、臨床現場でも日常的に遭遇する紛れもない身体所見です。
また、金バエ余命宣告の真相に関しても多くの憶測が存在します。医師から「余命数ヶ月」「もって1年」といった宣告を受けたと本人が語るたび、ネット上では「何度も宣告されているのに生きているから嘘ではないか」という懐疑論が出ました。しかし、慢性肝不全における予後予測は、絶対的なカウントダウンタイマーではありません。「現在の生活を続ければ極めて近い将来に心不全や消化管出血で急死する確率が極めて高い」という確率論的警告です。本人が一時的に入院加療を受け、点滴や腹水穿刺、利尿剤投与で急場をしのぐことで、皮一枚の命の綱渡りを続けているのが実態です。
さらに「なぜ肝移植を受けないのか」という疑問もよく見られます。日本の臓器移植ネットワークの適応基準において、アルコール性肝硬変患者の生体・脳死肝移植には最低6ヶ月以上の完全な断酒実績と強固な社会的支援体制が厳格に義務付けられています。度重なるスリップ(再飲酒)歴や自己管理の破綻がある場合、移植待機リストに登録されること自体が医学倫理上きわめて困難であるという現実が横たわっています。