「階段を数段上がっただけで息が切れる」「朝起きた瞬間から疲労感がある」という状態は、単に筋肉が落ちたことだけが引き金ではありません。疲労の本質は、細胞と神経システムで同時に発生している機能低下にあります。疲れやすい原因と改善策を突き詰めるには、まず体内で何が起きているかを把握する必要があります。
第一の理由は「自律神経のオーバーヒートによる脳疲労」です。長時間のデスクワーク、スマートフォンのブルーライト、日々のマルチタスクによって交感神経が過剰に優位な状態が続くと、脳の視床下部にある自律神経中枢に活性酸素が大量発生します。筋肉自体は疲れていなくても、脳が「体が限界である」というアラートを出し続け、全身の重だるさとして知覚されます。
第二の理由は「ミトコンドリアのATP(エネルギー)産生力低下」です。私たちの体を動かすエネルギー通貨であるATPの約95%は、細胞内のミトコンドリアでつくられています。運動刺激が長期間不足したり、細胞が酸化ストレスに晒されたりすると、ミトコンドリアの数と質が低下します。これにより、同じ日常生活を送っていても生成できるエネルギー量が目減りし、バッテリーの持ちが極端に短いスマートフォンと同じ状態に陥るのです。
第三の理由は「ホルモン環境の変化と隠れ栄養失調」です。特に40代からの体力作りにおいては、加齢に伴う成長ホルモンや性ホルモンの分泌低下が筋合成のスピードを鈍らせます。また、女性の体力低下と対策を考える上で見逃せないのが、月経や無理な食事制限に伴う「潜在性鉄欠乏(フェリチン不足)」とタンパク質不足です。ヘモグロビン値が正常範囲内であっても、貯蔵鉄が枯渇していると全身に十分な酸素が行き届かず、慢性的な酸素不足と倦怠感を招きます。