ドラゴンボールの戦闘力を語る上で、起点となるのがサイヤ人編で導入された「スカウター」の存在です。地球来襲時のラディッツが農夫を計測した「戦闘力5」から始まり、当時の孫悟空(重装備を脱いだ状態で416)やピッコロ(408)の数値は、読者に明確な絶望感と説得力を与えました。
集英社発行の公式ガイド本『ドラゴンボール大全集』第7巻などの公式設定資料によると、界王拳による倍加システムを経て、ナメック星編でインフレは一気に加速します。特に有名なのがフリーザ本人の口から語られた「私の戦闘力は530000です」という衝撃的な宣言でした。
その後、フリーザは変身を重ねるごとに数値を跳ね上げ、最終形態100%の戦闘力は1億2000万に達します。これに対抗した超サイヤ人・孫悟空の戦闘力は1億5000万と設定され、これが公式媒体で明確な数値として記録された最高峰のバトルアベレージとなりました。
超サイヤ人の覚醒による戦闘力50倍という爆発的な倍率設定こそが、以降の作中で具体的な数値を明示できなくなった最大の要因です。もし人造人間編や魔人ブウ編で数値を継続していれば、兆や京といった単位すら軽々と突破し、バトルの描写自体が形骸化する危険性がありました。鳥山明氏の優れた演出判断により、戦闘力は「数値」から「気のかたまり」「変身形態の格付け」へと見事にシフトしていったのです。