洋菓子の世界で「猫の舌」と呼ばれるスイーツの代表格が、日本でも広く親しまれている「ラングドシャ」です。この名称はフランス語の「Langue de chat」をそのまま直訳したもので、「Langue」が舌、「chat」が猫を意味します。
名付けられた理由は大きく分けて2つあります。1つ目は、焼き上がったクッキーの「細長く両端が丸みを帯びた平たい形状」が猫の小さな舌のフォルムにそっくりであること。そして2つ目は、口に含んだ瞬間に感じる「表面の微細なザラつき」です。猫の舌には「糸状乳頭(しじょうにゅうとう)」と呼ばれる無数の小さな突起があり、毛づくろいや骨から肉を削ぎ落とす役割を果たしています。ラングドシャ特有のざらっとした舌触りと、直後に訪れるサラサラとした口どけが、まさに猫にペロリと舐められたときの感触を連想させることから、17世紀フランスの宮廷菓子職人たちによって命名されたと伝えられています。
フランス発祥のラングドシャは、小麦粉・バター・砂糖・卵白を同量ずつ配合して作られるのが基本です。卵黄を使わずにメレンゲ状の卵白を用いることで、独特の軽やかな食感と繊細なきめ細かさが生まれます。この伝統的な製法がヨーロッパ全土に伝播する過程で、焼き菓子だけでなく「チョコレート」の分野でも猫の舌を模したスイーツが誕生することになりました。