白石徳生氏という経営者を理解する上で欠かせないのが、その卓越した先見性と商才です。1967年生まれの白石氏は、拓殖大学を卒業後、1992年にパソナ(現パソナグループ)へ入社しました。創業者である南部靖之氏の直下で頭角を現し、1996年に社内ベンチャー第1号として設立されたのが、ベネフィット・ワンの前身となる株式会社ビジネス・コープでした。
白石氏が着目したのは、日本の大企業が自前で抱えていた保養所や福利厚生施設の維持コストの無駄でした。これらをアウトソーシング化し、会員企業同士で割引サービスを共同利用する「福利厚生代行サービス」は、バブル崩壊後のコスト削減に悩む日本企業に劇的に刺さりました。同社が展開した「ベネフィット・ステーション」は急速にシェアを拡大します。
白石氏の真骨頂は、景気の良し悪しに左右されやすい仲介モデルから、会員企業から毎月固定の会費を得る「サブスクリプション型課金モデル」を日本のネット黎明期にいち早く確立した点にあります。2001年にJASDAQ上場を果たし、2006年には東証二部、2018年には東証一部(のちのプライム市場)へと上り詰めました。社内ベンチャーを時価総額数千億円の巨大企業に育て上げた実績は、平成・令和の日本ビジネス界でも稀有な成功事例と言えます。