実際に家紋を新設・リデザインした人たちは、どのような動機で作成し、現場でどんな壁に直面しているのでしょうか。関係者への取材や各種プラットフォーム上の口コミから、リアルな生の声が浮かび上がっています。
「結婚して新世帯を持ったのを機に、夫の『橘紋』と妻の実家の『雪輪紋』を組み合わせた新しい紋をプロに依頼した。結婚式の招待状やウェルカムボードに使い、親族からも『ふたりの門出にふさわしい新しいシンボル』と好評だった」(30代会社員・男性)
「祖父が亡くなり、地方から都内へお墓を移転(改葬)することになった。しかし実家の過去帳をいくら調べても正確な家紋名が分からない。石材店に相談したところ『新規建立なら、家族で納得した伝統紋を選んで新しく彫刻されるお客様もたくさんいらっしゃいます』と言われ、家族会議で決めた蔦(つた)紋を採用した」(40代公務員・女性)
一方で、事前の合意形成を怠ったことによる苦い失敗談も報告されています。
「起業のブランディングを兼ねて実家の家紋を勝手にポップ調に改変し、SNSや社用WEBサイトで公開したところ、本家の長男である叔父から『先祖代々の紋を勝手におもちゃにするな』と猛抗議を受けた。法的な権利問題ではないものの、親族内の人間関係に決定的な亀裂が入ってしまった」(20代起業家・男性)
このように、家紋の自作自体は自由であっても、既存の家族関係や親族の感情をどうケアするかが実際の運用における最大のハードルとなっています。