日本国内には数万種類以上の家紋が存在しますが、その中でも圧倒的な普及率を誇るのが日本十大家紋(藤、桐、鷹の羽、木瓜、片喰、蔦、茗荷、沢瀉、柏、橘)です。日本家紋研究会の悉皆調査データによると、桐紋グループは鷹の羽紋や木瓜紋と並び、全国の家紋シェアの約15〜20%を占める最大勢力の一角を形成しています。
かつては天皇家や天下人のみが使用を許された最高格式の紋章が、なぜこれほどまでに多くの家系で用いられているのでしょうか。その理由は、江戸時代の幕府政策と明治時代の法改正という二大要因にあります。徳川幕府は葵紋の使用を厳格に禁じましたが、桐紋の使用は一切制限しませんでした。その結果、武士だけでなく町人や豪農の間でも「憧れの格式高い紋」として自由に用いられるようになったのです。