フィギュアスケート界に大きな衝撃を与えたのが、アリサ・リウ(Alysa Liu)の電撃的な現役復帰だった。若くして全米を制覇し、北京五輪出場後に一度はリンクを離れた彼女が選んだ「再び滑る」という決断。復帰後の彼女の滑りには、かつてのプレッシャーから解き放たれたような純粋な喜びと、大人のスケーターとしての豊かな情感が宿る。勝負への執着を超えた先にある伸びやかなスケーティングは、ジャッジの心を確実に掴んでいる。
一方、正統派クラシックの美学を貫くのがイザボー・レヴィト(Isabeau Levito)だ。指先一本の軌道、上体の柔らかな使い方、音楽の微細なニュアンスを拾い上げる音楽表現において、彼女の右に出る者は少ない。派手な大技に頼るのではなく、すべてのエレメンツの質を極限まで高めることで加点(GOE)を積み上げる緻密な戦術。自由奔放なリウと、研ぎ澄まされた完璧主義のレヴィト。この対照的なコントラストが、アメリカ女子の層の厚さを象徴している。