「歩くだけで本当に痩せるのか」という疑問に対する端的な答えは、「極めて大きなエネルギー消費を生み出すが、食事管理を怠れば相殺される」という厳然たる事実に集約されます。一般的な日常生活における成人男女の平均歩数は1日あたり6,000〜7,500歩程度にとどまっており、2万歩はその約3倍に相当する過酷な運動量です。
歩行によるエネルギー消費を科学的に把握するためには、国立健康・栄養研究所や厚生労働省が策定する「METs(メッツ:身体活動の強さを示す単位)」を用いた計算式が基準となります。平地を通常の速度(時速4.0km程度)で歩く場合の運動強度は3.0 METs、やや早歩き(時速約4.8〜5.0km)で歩く場合は3.5〜4.0 METsと定義されています。
エネルギー消費量を求める公式は以下の通りです。
消費エネルギー(kcal)= 1.05 × METs × 運動時間(時) × 体重(kg)
この計算式を基にすると、後述する体重別の数値が明確になります。スマートフォンに内蔵された歩数・カロリー計算ツールでも同様のアルゴリズムが採用されていますが、歩行ピッチや勾配、個人の基礎代謝の違いによってプラスマイナス10〜15%の誤差が生じる点には留意が必要です。2万歩という運動量は、おにぎり約3〜4個分、あるいは一般的な外食の1食分に匹敵するカロリーを単独で消費する規模であり、エネルギー収支をマイナスに傾ける強力な原動力となることは間違いありません。