賃金額決定に至るプロセスは実に複雑だ。まず厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会が、全国の経済情勢や物価動向を総合的に考慮したうえで目安を提示する。この目安をもとに、各地域の労働局に設置された審議会が具体的な改定額を協議していくのが、我が国の地域別最低賃金改定制度の基本枠組みである。
福岡においても、労働者側と使用者側、そして学識経験者からなる公益委員が激しい議論を戦わせた。物価の継続的な上昇に合わせて大幅な引き上げを求める労働者側に対し、コスト増の吸収に苦しむ経営者側は慎重な姿勢を崩さなかった。最終的に福岡労働局長への答申としてまとめられた引き上げ幅は歴史的な高水準。この着地点には、物価高に苦しむ生活者の支援と地域経済の持続性という二つの難題の狭間で揺れた苦渋の判断が見え隠れする。