日本の公的医療保険分野は、明確に分けられた二大法的枠組みによって支えられている。民間企業で働く労働者を対象とする「健康保険法」と、自営業者や退職者、無職者を包括する「国民健康保険法」だ。この二つの法律は、理念から給付設計にいたるまで大きく異なっている。
健康保険法に基づく社保は、雇用関係を前提とした集団的なセーフティネットとして機能する。一方、国民健康保険法は地域住民の健康維持と相互扶助を柱とする。管轄組織や保険料率の決定メカニズムが根本から異なるため、仮に同程度の年収であっても、どちらの制度に属しているかによって年間の負担感に数万円から数十万円の格差が生じる事態が日常的に発生している。