原作者の空知英秋は、いつだって容赦がなかった。『週刊少年ジャンプ』の連載陣にあって、彼のペン先は国内の政治家から芸能人、果ては海の向こうのオスカー俳優にまで容赦なく向けられた。ウィル・スミスをモチーフにしたネタも例外ではない。黒塗りのスーツに身を包んだサングラス姿の怪異や、突拍子もない台詞回しの中に突如として放り込まれる実名イジリは、読者や視聴者の度肝を抜いた。
思いつきのギャグに見せかけて、間合いとテンポの計算は驚くほど緻密だ。日常会話の些細な違和感から突如としてハリウッド大作の世界観へと脱線し、気づけば泥沼のシュールレアリスムへと引きずり込まれる。集英社の会議室で編集者が頭を抱えたであろうネタの数々は、作者の類まれな言語感覚と恐れを知らない遊び心によって、唯一無二のキラーコンテンツへと昇華された。