水崎綾女の女優人生における最大の転機となったのが、河瀨直美監督による映画『光』への出演だ。視力を失いつつある写真家と、視覚障害者のための音声ガイド作りに挑む女性との葛藤を描いた至高のヒューマンドラマである。
撮影現場において河瀨監督が求めるリアリティは徹底しており、役柄としての生活を実際に送る「エチュード」と呼ばれる過酷なプロセスが課された。水崎はこの過酷な環境に真正面から向き合い、内面を削り出すような演技を披露。その結果、作品は第70回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、エキュメニカル審査員賞を受賞する快挙を遂げた。レッドカーペットを歩く彼女の姿は、日本の映画業界だけでなく世界中に「演技派女優・水崎綾女」の名を強く刻み込んだ。