2021年の閉館最終日、現地には別れを惜しむ数千人のファンが詰めかけました。SNSや口コミコミュニティに残された当時の生々しい投稿を振り返ると、この施設がいかに単なる入浴施設を超えた存在であったかが分かります。
「地方から夜行バスで東京に着き、まずここで朝風呂に入ってからコミケやイベントに向かった」「浴衣を選んで友達同士で写真を撮り合った初めての場所」「子どもが縁日のスーパーボールすくいに夢中になり、祖父母と3世代で丸一日過ごせた」といったエピソードが溢れています。利用者の声が証明しているのは、東京お台場 大江戸温泉物語が「モノ消費からコト消費へ」という時代の転換点をいち早く体現したパイオニアだったという事実です。
スーパー銭湯にテーマパークの文脈を融合させ、外国人観光客には手軽な日本文化体験を、国内客には都心にいながら温泉旅行気分を提供した功績は計り知れません。だからこそ、物理的な建物が消え去った現在でも、人々の記憶の中でこれほど強烈な喪失感とともに語り継がれているのです。