パドックは「馬の健康状態や仕上がり」を確認する場であるのに対し、本馬場入場後の動きは「レースで持てる能力を発揮できるか」を測る場だ。自重50キロ前後の騎手が背中に乗り、キャンター(軽快な走り)へと移行した瞬間に、馬の集中力と柔軟性が一気に試される。
パドックで「見栄えが良い」と絶賛された人気馬が、馬場に入った途端に首を上げて手綱を引っ張り、折り合いを欠くシーンは珍しくない。これは精神的な興奮が限界に達し、エネルギーを無駄消費している兆候だ。一方で、パドックでは地味で目立たなかった馬が、騎手が合図を送ると同時にスッと沈み込むような低いフォームに変化することがある。これぞ本気モードの証であり、高配当をもたらす激走のシグナルだ。