成長した妹が母と同じ芸能プロダクション「アヴァンセ」に所属し、フジテレビジョンのバラエティ番組などを中心におバカタレントとしてブレイクを果たしていく姿を、兄はどのような思いで見つめていたのだろうか。母の威光を背負ってスポットライトを浴びる妹の傍らで、兄は大学進学を経て一般企業への就職を選んだ。
坂口良子は生前、プロゴルファーの尾崎健夫と長年にわたる事実婚関係を経て2012年に正式に再婚を果たした。この再婚に至る過程でも、長男は母の幸せを静かに祝福しつつも、芸能一家という特殊なコミュニティとは一線を画すスタンスを崩さなかったという。家族のイベントには顔を出しながらも、カメラの前に立つことは決してなかった。
「お兄さんは本当にしっかりした常識人。芸能界の派手な空気に流されることなく、自分の力で生きていくという強い意志を感じさせた」と、当時の事務所関係者は述懐する。しかし、そんな家族の微妙な均衡は、母の突然の病によって音を立てて崩れ去ることになる。